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 その声を合図に、男たちはゆっくりと大の字に縛り付けられている少女に向かって近づいていく。しかもその手には各々大きなハサミが握られている。
「ああっ…何を…何をなさるの、助けてください…お願い…お願い助けてぇーっ。」
 珠子は怯えきって悶えるが、男たちは珠子の周囲を取り囲むと、一斉に彼女の着ている美しい藤色のワンピースのドレスを切り刻み始める。スカートの裾の方から上に向かって切り裂くもの、袖から肩に向かって縦に切れ目をいれるもの、背中に大きな穴をあけるもの、白いレースの襟を切取りさらに胸元に向かって切り刻むものなど、男たちはよってたかって美しいドレスを無数の布切れにしていく。
「ヒイイイィーイッ…ああ…やめてぇーっ…おやめになって…、キャアアアーアッ…許して…許してください…お願いやめてぇーっ。」
 もちろん珠子は死に物狂いになって身体をねじって、悲鳴を上げ、助けを求めて泣き叫ぶ。しかしもうどこからも助けなどやってきはしないのだ。
 たちまち藤色のドレスは床の上に散らばり、珠子は今度は白い絹のシュミーズを切り刻まれながら、泣き悶えるのだった。もちろん男たちは最後の下着まで容赦はない。たちまち下穿きも、靴下留めで止めた靴下も全てはぎ取られてしまい、十八歳の処女の初々しいお椀を伏せたような乳房も、可愛らしいおへそも、それどころか下腹部のこんもりと盛り上がった恥丘と、それを恥じらうように覆っている柔らかな茂みも、その奥の薄紅色の肉の合わせ目まで全て余すところなく、いやらしい悪魔たちの前にさらけ出されてしまった。
「ああ…どうして…どうしてこんなことを…ううっ…お父さまお願い…お父さま助けて…、お願い見ないで…恥ずかしいわ…ご覧に…ご覧にならないで…。」
 珠子は恥ずかしさのあまりに、胸のあたりまで赤く染め、うなだれたまま絶え絶えに哀願を繰り返した。大の字に縛られ、隠す術のない今まで誰にも見せたことのない肌を、いやらしい悪魔たちに隅々まで眺められる恥ずかしさ、屈辱に、少女の頬を美しい涙が一筋、二筋と伝った。
 一方、赤サソリとその手下たちは、少女らしい初々しさ、若々しさと、女らしい丸みの見事に調和した珠子の裸体を食い入るように見詰めている。
 春川月子の裸体ももちろん美しかった。しかしこの少女の美しさには及ぶべくもない。銀幕のスタァとはいっても、既にカメラを通して無数の人々に姿をさらし、もちろん男性経験も豊富な女だった。それに比べ、珠子は或る雑誌に「東京女学生美人投票第一席ミス・トウキョウ」と取り上げられたくらいで、いかにも育ちの良さが滲み出ている、しかも聡明で、素直で、気立ての良い深窓の令嬢であり、月子とは所詮ものが違ったのである。
 それにこの羞恥と恐怖に振るえる何ともいえぬ風情はどうだ。これから少なくとも一晩、この美しく弱々しい獲物をどうしようと自分たちの自由なのだ。恥ずかしさに絶え入らんばかりにしている全裸の美少女を前に、彼らの目は次第に獣のような異様な輝きを帯びてくるのだった。
 その時だった。またあの赤サソリの口から、あの地の底からひびくような歯軋りの音が洩れてくる。
「おい、お嬢さんをこのままほうっておく間抜けがあるもんか。みんなでたっぷり可愛がってやんな。」
 赤サソリの言葉に、珠子の裸体の美しさに見とれるばかりで手を出しかねていた男たちは、一斉に彼女の体に群がるように襲いかかる。
「ヒャアアアーアッ…キャアアーアッ…助けて…お兄さま…お父さま助けてぇーっ。」
 獣のような目をした男たちの手が自分の体に伸びるのを見た珠子は、火の付いたような悲鳴をあげる。しかしその唇さえ、たちまち男のいやらしい分厚い唇に塞がれる。顔を背けてのがれようとする少女の乳房が、背後から伸びる男たちの手で、ねちねちと或いは激しく揉まれる。
「ヒイイイィーイッ…助けてください…いやぁーっ…ああっ…こんなこといやぁーっ。」
 もちろんあまりのおぞましさに珠子は暴れて悲鳴をあげる。しかしこんなことはまだ手始めだった。すぐに無数の男たちの指が舌が、一斉にそんな少女の体に襲いかかる。脇の下や脇腹、内腿や耳の後、足の裏にまで、全身の敏感なところをいやらしい指が無数に這い回り、初々しい乳房が荒々しい手、くねくねとした手など様々な手で揉まれ、もちろん花芯や菊門には無数の指が這い回り、それらが強弱様々な触感で乙女の一番敏感な部分の肌を刺激する。さらにそれに肌の上をなめくじのように這い回る男たちの舌が加わるのだ。
 珠子は全身の敏感なところを目茶目茶に嬲られるおぞましい快感に、引きつるような悲鳴を上げながらのた打ち回って苦悶し続ける。しかしあの赤サソリと一寸法師だけは、彼らとは少し離れた位置で、そんな珠子の様子を満足そうに見つめている。
「へへっ、どうだい。良い気持ちだろう。」
「ああ、まったく良い気持ちだよ。このきれいなお姉ちゃんがどんな目にあうかと思うと、それだけで背中がぞくぞくしてくるよ。」
 彼らはまるで親子のように楽しそうに話し合っているのだ。
 それは今まであまりに厳格に、あまりに清く美しく育てられた珠子にとって、まさに地獄そのものの責め苦だった。
「キャアアアーアッ…ああ…ヒャアアアーアッ…そこ…そこはだめ…おやめになって、ああっ…いやです…ヒイイイィーイッ…いやぁーっ…誰か助けて…許してぇーっ。」
 珠子は悲痛な声で泣きわめき、哀願し、爪先までひきつらせて苦悶し続ける。しかしその余りに凄まじい刺激に、珠子は、こうした経験の全くないだけに、かえってそれだけ素直に反応してしまう。
「ああ、だめ、私…私…どうすれば良いの…そんなこと駄目…。」

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