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 観客席からまばらな拍手があがり、ついでそれは盛大な拍手と耳を聾するばかりの歓声に変わった。彼女の死に様に、観客も満足してくれたようだ。俺は先刻脱ぎ捨てたマントを再びはおった。少女の血と尿にまみれているが、俺はそれを汚いとは思わなかった。マントを翻し、再び観客席に向かって一礼する。さらに大きくなった拍手と歓声を背に、俺はステージをあとにした。
 もっとも、ショーはこれで終わりではない。最後に屍姦マニアの間で彼女の死体をオークションにかけることになっている。ただ、オークションまでは俺には荷が重い。あとは専門家に任せさせてもらおう。
 


 スタジオを出た俺は、廊下でしばらく待った。憲兵に届け物を頼んであるのだ。数分後、一人の憲兵が大型のトランクを持って俺の前に姿を現す。
「持ち出せたか。」
 「ええ、手はず通り。あの子の右脚です。」
「まずは今日、刺身で。残りは二日ほどねかせてから、ローストしていただくか。あさってまでには少佐も戻ってくるし、ちょうどいい。」
「お楽しみですな。」
「手間をかけさせたしな、今日の刺身は君も相伴させてやる。」
「ありがとうございます。今後もお役に立たせていただきますよ。」
 我々は顔を見合わせて笑い、歩き出した。最高の晩餐が楽しめそうだ。


(了)

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