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一方、少女は呆けたような表情で俺を見つめていた。ついで、視線を自らの左肩に向ける。脚のそれほどではないが、切断面からはやはり激しく血が噴き出していた。 「や…きゃああああああっ!」 少女は、甲高い声で絶叫した。おびただしく失禁する。床の血だまりは、少女が漏らした尿と混じり合って赤色不透明から橙色透明に色合いを変え、その面積をさらに広げ始めた。俺の足下までそれは広がり、ブーツの底を血と尿が混じった液体が濡らす。 片腕片脚を失いながら、それでも少女は生きる努力を続けていた。残った右腕でロープを強く掴み、左脚でバランスを取って必死に立った姿勢を保っている。立った姿勢を崩せば、彼女の体重は大部分が首に掛かったロープで支えられることになり、結果ロープで首が締め上げられて窒息する。このショーは、最終的には彼女をその有様で死なせ、完結するのだ。 俺は、残った二枚のカードから、今度は自ら一枚を抜き取った。 「三枚目は、右腕、か。どうなるかな?」 「やっ…」 俺はサーベルを腰の鞘に戻した。観客席からざわめきがあがる。しかし、このまますべての四肢をサーベルで切り落とすのでは、今ひとつ芸が無い気がする。 俺は、腰にぶら下げた大型のホルスターから、長大なデザートイーグルを抜いた。二キロ近い重量を持ち、50口径弾を叩き出すハンドキャノン。普段は若干荷物に感じている銃だが、この局面ではむしろ最高の働きをしてくれそうだ。俺はスライドを引いて薬室から弾丸をはじき出し、きらきら光りながら宙に舞ったそれを器用に受け止めた。その弾丸 を少女の目の前に掲げる。カメラも察しが良く、それをスクリーンにアップで映しだした。 鈍い金色に輝く巨大な50AE弾。その弾頭部分は、先端に十字型の割線が入っている。 「これは憲兵隊の装備局が開発した特製のダムダム弾でね、標的に当たるとバラバラに砕けて弾頭が持つ物理エネルギーのほとんどを標的内部にぶちまけるよう作られているんだ。君の国のゲリラが使ってるダムダム弾は弾頭を斜めに削り落としたり、先端に十字の切れ目を入れてくさびを打ち込んだりしているけど、これは違う。設計段階から計算し尽くされている最新技術の結晶体だ。君の細い腕を切断するには十分な破壊力がある。」 「ま、待って、やだ、撃たないで」 俺は再び少女から少し離れ、その右腕にねらいを付けた。 「お願い、やめて、助けて、ねえ、やめて、やめてよ」 少女は身動きもできず、ただ涙を流しながら俺に懇願している。失血のため血の気を失った体は冷や汗にまみれ、小刻みに震えていた。股間からはぽたぽたと小水がしたたり落ちている。尿道は弛緩しきっているが、膀胱にはあまり尿が残っていないようだ。俺は、むしろ優しげな声を出した。 「本当に可愛いよ、君は。」 「え?」 「君がくびり殺されるときの顔は、もっと可愛いだろうね。」 俺は、デザートイーグルの引き金を絞った。 少女の上腕部が、爆弾を仕掛けられていたかのように四散した。ちぎれた右腕が衝撃で数メートル後ろまで飛ばされる。少女の体も着弾の衝撃でバランスを崩した。四肢のうちただ一本残った左脚を滑らせた彼女の首に、天井から下がったロープが食い込む。 …とくん……とくん………とく… |
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