◆プロローグ◆
いかにプロテクト旧市街とは言え、官公庁や歴史的な建物ばかりがある訳ではなく、やっぱりこの地域にも住民がいる。住民がいるからには生活の便を図らねばならず、そのための様々な商店や、レストランや、医者や、工務店やらが必要となる訳で、適当に木立もあり子供を遊ばせるための滑り台やブランコがちまちまと設置されている、つまりはどこにでもありそうなこの小さな公園もそんな施設の一つだった。そしてその公園に四人の娘たち、そのうちの二人は女子高生で二人は女子大生を連れたハイスクールの生徒たちがやってきたのは、その日ももう夕方近くになった頃だった。
「どうだい、あのサイトのあれを実現するには恰好の場所だろうが。」
そのリーダー格らしい若者が、自慢そうに言う。 「確かに雰囲気は良く似ているだろう。それに上手い具合に同じ名前の女の子もこの通り見つかったし、上手い具合にみんな可愛いし、それにどいつもこいつも見事な胸をしているときている。さあてこいつ等をあのイラストの通りの姿にしてやろうじゃないか。」 そして他の者たちが答えるのを待たずに、どこか蕩けたような目をして一方的にしゃべると、身を寄せ合うようにして震えている四人の獲物を眺めながら楽しそうに笑う。他の者たちの顔にも何とも残忍な笑みが浮かぶ。 「しかし、ひひっ、可哀相に。」 「まあお前たちと同じ日本人のイラストだ。これも運命だと思って諦めろ。」 「ふふ、お前たちはこんな目にあうんだぜ。どうだ、見事なものだろう。」 そしてやがて彼らも口々に楽しそうに言いながら、パソコンからそのままアウトプットしたらしいイラストを数枚、彼女たちの前に放り出す。
「あああっ…何と言うことを…。」
「ひどいわ…ああっ…ひどすぎます…。」
「そんな…そんな…ああっ…いやぁーっ。」
四人の娘たちはそれを一目見るなり思わず顔を覆って、二人はそのまま地面にうずくまってしまう。そのイラストにおいて、各々美しい、そして彼女たちと同じく胸の見事な娘たちが無残な姿をさらしていたが、それはグロテスクな以上にどこかしら耽美的で、かつ適当なリアリティと迫力と男たちをそそらせずには置かないある種の雰囲気を持っていて、それだけで彼女たちを怯えさせるのに十分だった。
「どうだ。中々見事なものだろう。これがサイトでただで見れるなど全く良い世の中になったものだ。」
「それにどうやら名前だけじゃなくって、この顔立ちなんか何となくお前たちに似ているじゃないか。ふひひ、へへっ、楽しみだな。」
さらにその少年たちは面白そうに言葉を続けるが、彼女たちはただただ怯えきって泣きじゃくっていた。そのイラストは藤田きよみと言う日本人が運営しているサイト『Kiyomi's
Nightmare Room』の[残虐画廊]と言うコーナーに掲載されている「公園にて」 の連作四枚だった。
|